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REMI HIRANO

「発想人」の視点

平野 レミ

料理愛好家

_ PROFILE

シェフではなく「シュフ」の料理をモットーに、簡単で楽しくてアイデアあふれるオリジナルレシピを数多く発信。
明るいキャラクターも人気で、テレビや雑誌等で活躍中。多機能鍋「レミパン」シリーズをはじめ、アイデアを活かして開発した商品も人気が高い。

思いを貫き、感性に磨きをかける

人って何かを強く思っていると、そのことがわかるようになるらしいですね。以前、私の家に泥棒が入ったことがあったの。普段、現金は置いてないけど、その日に限って「支払いは現金で」って大工さんが言うから用意していたの。そうしたら泥棒に持っていかれちゃった。後日、その泥棒が捕まって事情聴取したら、この家にはお金があるってわかったんですって。すごいでしょ。周りにはもっと立派な家がいっぱいあるのに、今日は、この家にはまとまったお金があるってわかったって。頭の中で「お金、お金」って思っていると、「ここだ!」ってわかるようになるものらしいの(笑)。だからさあ、人は何かを必死にそればっかり思っていると、脳みそに磨きがかかるのよね。料理もいつも考えていると、脳みそに磨きがかかって、これとこれを組みあわせるとおいしいってわかるようになる。もちろん、味や食材のデータも必要よ。頭の中でシミュレーションが可能になるし、ひらめきも生まれるの。だから、考え続けることが一番なんじゃないかな。泥棒は悪いことだけど、何かを必死に思い続けると感性に磨きがかかる。やはり、考え続けることは大事だと思いますね。発想も同じじゃないかしら。

手を抜いて、アイデアを足す

私はめんどくさがりで、無精で気が短いからパパッとできないといや。だから、どうやったら簡単においしい料理ができるかを考える。シェフの料理じゃなくて、シュフ(主婦)の料理なんだから、手間を省くことを考えるのは当然でしょ。ここは省いてもいいな、といった感じで、ね。省いても、ごっくんしたとき帳尻が合っていて、食べた人が喜んでくれたらそれでOK。私の料理に「ごっくん」シリーズとか「食べれば」シリーズというのがあるけど、その代表作が「ごっくんコロッケ」。まだ子どもが小さいとき、私が遅く帰ってきたら、「コロッケが食べたい」って言われちゃって。一からコロッケをつくっていたら時間がかかり過ぎるから、ひき肉と玉ねぎを炒めて、ジャガイモをレンジにかけてつぶしたものと一緒に、きゃべつの千切りの上にのせて、砕いたコーンフレークをパラパラっとかけてソースと一緒に食べる。最初、子どもは「これはコロッケじゃない!」って言ったけど、「ごっくんするとコロッケだから」と言って食べさせたら「ほんとだ!コロッケだ」って(笑)。すごい時間短縮でしょ。ごっくんして帳尻が合えばいいという発想ね。「食べれば北京ダック」や「食べれば肉じゃが」なんかもあるのよ。

よく勘違いされるけど、手抜き料理と手抜きアイデア料理は違います。私のは手抜きアイデア料理。手抜きは引き算、手抜きアイデア料理は足し算。楽しさとおいしさをプラスするの。食べる人のことを考えて、色々とアイデアを凝らす。どこの誰かわからない人ではなくて、そこにいる人のためにつくることは大事な要素ですね。思考錯誤を繰り返していると自分では味がわからなくなって決められなくなることもあるけど、そんなときは和田さん(※ご主人の和田誠氏)が感想を言ってくれる。それで完成していく。信頼できる人の意見って大事だと思う。

好きなことをギリギリ考え続ける

アイデアを凝らしてオリジナルレシピをつくるのが好き。何が足りないんだろう、何を入れたらおいしくなるかな…って考える。そういうことをギリギリ考えるのが好きです。「もっとおいしくな~れ」って。面白がってやることね。楽しくやらなきゃね。楽しくないと発想なんて浮かばない。悩むように考えていてもダメなんじゃないかな。「発想しなさい」と誰かに言われて、机の前で難しい顔していても何も浮かばないと思います。好きなことだからギリギリ考えられる。好きなことを、楽しんで、ギリギリと考え続けること。それでも浮かばないときは浮かばない。でも、楽しければ続けられる。一番大事なことは笑顔ね。そしてやる気。子どもの教育もみんなの生活も一緒。暗い顔していても誰も同情してくれないわよ(笑)。

ユニークな名前のレシピもたくさんあるけど、名前が先かレシピが先か、わからないこともあるわね。ダジャレだけど、名前からぐっとイメージが広がることも多い。明日会社に行きたくない人にはどんな料理がいいかなって考えたのが、アスパラガスを炒めた「明日パラダイス炒め」。他にも暑さも吹っ飛ぶ「ぶっトン(豚)丼」や、スペイン語で牛がバカ、ニンニクがアホだから「バカのアホ炒め」とかね。「牛肉のニンニク炒め」より、楽しくて元気になるでしょ。ちょっとした見方、考え方で変わるのよね。これも発想と言えば発想かな。

「こうなればいい」を感じ取る

よく「レミさんって本音と建て前がない」って言われる。本音と建て前という言葉自体が理解不能ね。私から見ると、世の常識とされているものには、「これが建て前か」と思うものもある。たとえば、高級店の和食。高級な器にほんのちょっと盛られていて芸術品のようだけど、あれじゃかえってお腹がすいちゃう(笑)。これって上品なの? 単にケチなんじゃないのって。世の中の常識じゃなくて、自分の感覚を信じてみると、意外と発想って広がるのかもしれないわよ。無理に嫌いな人と付き合わなくてもいいし、省いていいことは省いて、楽しいことを足していく。料理と同じよね。

本気で何かに取り組んでいると、これはこうなったほうがいいなと思ったりするでしょ。それを実現させたいなって。レミパンを考えたときも、料理していていつも蓋の置き場所に困っていて、立てられる蓋がないかと探し回っていたんだけど、結局、見つからなかった。それでつくってもらったの。シンクのカウンター部分もいいこと考えたの。魚をさばくと血が出るでしょ、それが流れていったらいいのにと思って、傾斜をつけてもらったの。料理中も家族の顔を見ていたいからキッチンの壁を鏡張りにした。結局、その世界に深く入っていると「こうなればいい」がどんどん沸き上がってくるはず。それって発想ということでしょう。やり続けていると、そこが鍛えられる。経験で「こうするとこうなる」がわかると、「じゃあ、こうすればいい」が出てくるのは自然の流れ。だから、やり続けたほうがいいの。

違いを恐れず、試行錯誤を楽しむ

「キッチンから幸せ発信」っていつも言っています。幸せの連鎖。家庭でおいしい料理を食べると幸せな気持ちになるでしょう。幸せな家庭が増えると街が平和になり、それが広がればいつか世界が平和になると思うの。いま心配なのは、家庭の味が一緒になってきていること。みんな忙しいからたまに手を抜くのはいいと思うの。ただ、レトルト食品を温めるだけの食事はどうかなって思う。「おふくろの味」が「ふくろの味」になっちゃう。もしレトルト食品や出来合いのものを買ってきたとしても、そこにちょっと工夫をして、自分の家庭の味にすればいい。レトルトカレーにもクミンやガラムマサラを足すとかね。誰か知らない人がつくった誰かのベロ(舌)に合わせたものをそのまま家庭で食べるのはいやなのね。家族のためにつくることが大事。そこで「スキンシップ」ならぬ「ベロシップ」が生まれる。ベロシップってとっても大事よ。

みんな同じものを食べていたら、何百年後かには、みんな同じ顔になって同じ考えを持つ人になっている気がするんです。それじゃ個性が無くなりそう。料理もテキスト通りにつくる必要はないの。ベロが違うから違うものができて当然。食材だって変えていい。その思考錯誤が面白いのよ。料理の腕も筋肉と同じでやればやるほど鍛えられる。発想も同じじゃないかしら。もしひらめいたら、チャレンジすることが大事。失敗もあるけど、それで学べばいいよ。

Photo:Yoshiro Hayakawa

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